皮膚の構造
皮膚(SKIN)は人体の表面を覆い、心臓、肺、肝臓、脳等の生命に関わる諸臓器を保護していますが、それは単なる覆いではなく「生命の維持」を担っている事は皆さんもご存知の事かと存じます。
皮膚は成人サイズで1.6㎡の面積(畳一分)があり、皮膚(表皮と真皮)の重量は約3kg、皮下組織を含めると約9kgにも及ぶ“人体最大の臓器”なのです。
皮膚の色調は人種・年齢・性・部位・“個人の細胞”によって様々ですが、メラニン(MELANIN)と赤血球中のヘモグロビンが皮膚色を左右し、その他カテロンの量や“個人の角質の性状、状況”にも関与しています。
皮膚の表面には皮溝という大小の溝が交差し、その間に皮丘が形成され、皮溝に区画された三角形・多角形の領域は皮野とよばれます。この溝がいわゆる“肌のキメ”と呼ばれる物なのです。
皮膚の厚さは1.5〜4mmで、掌蹠(掌と足底)がとくに厚くなっています。
皮膚は上層から表皮・真皮・皮下脂肪織(皮下組織とも言われる)の3層に分けられ、その下に筋肉・骨等の組織が存在しています。
表皮 Epidemis
表皮は被覆表皮と付属器表皮からなり、付属器表皮は表皮内毛包部と表皮内汗管部に分かれています。表皮の厚さは 0.06~0.2 mm、角層が厚い掌雛は0.6mm と厚くなっています。
表皮の下面は凹凸面となり、真皮と密着し、表皮の真皮に突出している部分を表皮突起、真皮が表皮に突出している部分を真皮乳頭とよびます。表皮の構造
表皮は下層から基底層・有煉層・頼粒層・透明層・角層の5層からなる重層局平上皮であり、角化細胞は基底層で分裂し、角化しながら上行して表層から脱落します。また基底層から頼粒層までに分化するのに約1か月間,角層からはがれるのに約14日間を要するのが“正常な肌のターンオーバー”となります。煉層・頼粒層を合わせてマルピギー層 Malpighian layerとよばれる事もあります。
基底層
表皮最下層の1層で、基底細胞とよばれる円柱形の角化細胞から肌細胞は生まれます。
底細胞の真皮側にはヘミデスモソーム hemidesmosome があり、基底板と結合しています。
有棘層
基底層から頼粒層にいたる5~10層の角化細胞層を有糠層といい、下方ほど多角形で、上にいくにしたがって横に届平となり、層板頼粒lamellar granule (オドランド小体 Odland body)が見られるようになります。
顆粒層
有糠層と角層の間に存在し,細胞質中に好塩基性の小頼粒であるケラトヒアリン頼粒が見られるようになります。細胞膜は肥厚しはじめ細胞膜内側に周辺帯を形成するようになり、層板頼粒が豊富にあります。
透明層
掌雛では角層が厚く角層と頼粒層の間に光学顕微鏡では光を強く屈折させる透明層が見られます。
角層
表皮最上層で、核や細胞小器官が消失した角質細胞が存在し、光学顕微鏡では好酸性の重層する薄膜状構造、電子顕微鏡ではケラチン模様が見られ、角質細胞の周辺帯は発達して厚くなっています。細胞間には層板頼粒の層板構造が見られます。